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推荐语:

作者:(日)谷崎润一郎著

出版社:华东理工大学出版社

出版时间:2018-05-23

书籍编号:30415864

ISBN:9787893902680

正文语种:日语

字数:9433

版次:1

所属分类:中外名著-外国名著

全书内容:

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其それはまだ人々ひとびとが‘愚おろか’と云いう貴とうとい徳とくを持もって居いて、世よの中なかが今いまのように激はげしく軋きしみ合あわない時じ分ぶんであった。殿との様さまや若わか旦だん那なの長閑のどかな顔かおが曇くもらぬように、御ご殿てん女じょ中ちゅうや華魁おいらんの笑わらいの種たねが盡つきぬようにと、饒じょう舌ぜつを売うるお茶ちゃ坊ぼう主ずだの幇ほう間かんだのと云いう職しょく業ぎょうが、立りっ派ぱに存そん在ざいして行いけた程ほど、世せ間けんがのんびりして居いた時じ分ぶんであった。女おんな定さだ九く郎ろう、女おんな自じ雷らい也や、女おんな鳴なる神かみ、――当とう時じの芝しば居いでも草くさ双ぞう紙しでも、すべて美うつくしい者ものは強きょう者しゃであり、醜みにくい者ものは弱じゃく者しゃであった。誰だれも彼かれも挙こぞって美うつくしからんと努つとめた揚あげ句くは、天てん稟ぴんの体からだへ絵えの具ぐを注そそぎ込こむ迄までになった。芳ほう烈れつな、或あるいは絢けん爛らんな、線せんと色いろとが其その頃ころの人々ひとびとの肌はだに躍おどった。


馬め道どうを通かようお客きゃくは、見み事ごとな刺青ほりもののある駕籠舁かごかきを選えらんで乗のった。吉よし原はら、辰たつ巳みの女おんなも美うつくしい刺青ほりものの男おとこに惚ほれた。博ばく徒と、鳶とびの者ものはもとより、町ちょう人にんから稀まれには侍さむらいなども入いれ墨ずみをした。時々ときどき両りょう国こくで催もよおされる刺青ほりもの会かいでは参さん会かい者しゃおの/\肌はだを叩たたいて、互たがいに奇き抜ばつな意い匠しょうを誇ほこり合あい、評ひょうしあった。


清せい吉きちと云いう若わかい刺青ほりもの師しの腕うできゝがあった。浅あさ草くさのちゃり文ぶん、松まつ島しま町ちょうの奴やつ平へい、こんこん次じ郎ろうなどにも劣おとらぬ名めい手しゅであると持もて囃はやされて、何なん十じゅう人にんの人ひとの肌はだは、彼かれの絵え筆ふでの下したに絖地ぬめじとなって擴ひろげられた。刺青ほりもの会かいで好こう評ひょうを博はくす刺青ほりものの多おおくは彼かれの手てになったものであった。達だる磨ま金きんはぼかし刺ぼりが得とく意いと云いわれ、唐から草くさ権けん太たは朱刺しゅぼりの名めい手しゅと讃たたえられ、清せい吉きちは又また奇き警けいな構こう図ずと妖よう艶えんな線せんとで名なを知しられた。


もと豊ほう国こく国くに貞さだの風かぜを慕したって、浮うき世よ絵え師しの渡と世せいをして居いたゞけに、刺青ほりもの師しに堕だ落らくしてからの清せい吉きちにもさすが畫え工かきらしい良りょう心しんと、鋭えい感かんとが残のこって居いた。彼かれの心こころを惹ひきつける程ほどの皮ひ膚ふと骨ほね組ぐみとを持もつ人ひとでなければ、彼かれの刺青ほりものを購あがなう訳わけには行いかなかった。たま/\描かいて貰もらえるとしても、一いっ切さいの構こう図ずと費ひ用ようとを彼かれの望のぞむがまゝにして、其その上うえ堪たえ難がたい針はり先さきの苦く痛つうを、一ひと月つきも二ふた月つきもこらえねばならなかった。


この若わかい刺青ほりもの師しの心こころには、人ひと知しらぬ快かい楽らくと宿しゅく願がんとが潜ひそんで居いた。彼かれが人々ひとびとの肌はだを針はりで突つき刺さす時とき、真しん紅くに血ちを含ふくんで脹ふくれ上あがる肉にくの疼うずきに堪たえかねて、大たい抵ていの男おとこは苦くるしき呻うめき声ごえを発はっしたが、其その呻うめきごえが激はげしければ激はげしい程ほど、彼かれは不ふ思し議ぎに云いい難がたき愉ゆ快かいを感かんじるのであった。刺青ほりもののうちでも殊ことに痛いたいと云いわれる朱刺しゅぼり、ぼかしぼり、―――それを用よううる事ことを彼かれは殊こと更さら喜よろこんだ。一いち日にち平へい均きん五ご六ろっ百ぴゃく本ほんの針はりに刺さされて、色いろ上あげを良よくする為ため湯ゆへ浴つかって出でて来くる人ひとは、皆みな半はん死し半はん生しょうの体ていで清せい吉きちの足あし下もとに打うち倒たおれたまゝ、暫しばらくは身み動うごきさえも出で来きなかった。その無む残ざんな姿すがたをいつも清せい吉きちは冷ひややかに眺ながめて、


‘嘸さぞお痛いたみでがしょうなあ’


と云いいながら、快こころよさそうに笑わらって居いる。

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